2018年8月13日月曜日

エボカルセト(オルケディア®)はシナカルセト(レグパラ®)に対して効果は非劣勢.消化器系の副作用を減らす傾向.

Head-to-head comparison of the new calcimimetic agent evocalcet with cinacalcet in Japanese hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism

kidney international 2018 Articles in Press

■abstract
二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は,心血管の石灰化を引き起こし,CKD患者の生存率や生活の質に影響を及ぼす.シナカルセトはSHPTの管理に用いられるが,副作用として消化器症状を引き起こし,内服アドヒアランスの低下の原因となる.それゆえに,より消化器症状の少ないカルシウム受容体作動薬が求められていた.
本論文はphase3,ランダム化,二重盲検化,ダブルダミー法を用いてシナカルセトとエボカルセトの効果と安全性を比較した.
SHPTの日本人透析患者をエボカルセト317人,シナカルセト317人にランダム化し,30週フォローした.
主要有効性評価項目は,28-30週でのPTH 60-240pg/ml達成でエボカルセトのシナカルセトに対する非劣勢(非劣勢マージンは−15%, per protocol set analyses).
エボカルセトでは72.7%,シナカルセトでは76.7%の患者が目標PTHに達した(between-group difference: −4.0% [95% confidence interval −11.4%, 3.5%], for non-inferiority).
消化器系の副作用発生はエボカルセト18.6%,シナカルセト32.8%であった.(between-group difference: −14.2% [−20.9%, −7.5%], significant for superiority).
以上より,エボカルセトのシナカルセトに対する目標PTHへの達成の非劣勢,ならびに,より消化器症状が少ないことが示された.
-------------------------------------------------------

透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療薬の比較.
シナカルセトが登場してから手術の症例がかなり減った,というのは経験のある医師に教わりました.そんなシナカルセトは消化器症状が副作用として出やすいということがありますが,新治療薬であるエボカルセトは消化器症状を減らす,という結果になりました.
あくまで主要有効性評価項目はPTH値に対する非劣勢であって,副作用の評価ではないということは留意すべきだとは思いますが,シナルセトは消化器系の副作用を訴える事も多く,その場合の選択肢になりそうです.
ただし,消化器系の副作用として複合されていますが,それぞれをみると明らかに差があったのは嘔気と腹部違和感の2項目で,嘔吐・食欲低下・腹満感についてはエボカルセトが好ましい傾向であるものの,明らかな差は示せていません.
このあたりは留意したほうがよさそうですね.

0 件のコメント:

コメントを投稿