2019年2月18日月曜日

血液透析患者でも果実・野菜の摂取は死亡率を下げる

Fruit and Vegetable Intake and Mortality in Adults undergoing Maintenance Hemodialysis

Clin J Am Soc Nephrol 14 2019.
doi:https://doi.org/10.2215/CJN.08580718

Abstract
■Background and objectives
一般的に,果実や野菜の摂取は心血管系疾患のリスクや全死亡を低下させる.
血液透析患者では高カリウム血症の危険から果実や野菜は控えることが多く,摂取により同様のリスク軽減を認めるかどうかは分かっていない.
血液透析患者でも同様の効果があるかどうかを検証した.
■Design, setting, participants, & measurements
果実や野菜の摂取はthe Global Allergy and Asthma European Network food frequency questionnaireで調査し, 血液透析患者の死亡と入院について調査した.
9757名の成人患者において,8078名(83%)に対して食事のデータを解析出来た.
果実と野菜の摂取と全死亡,心血管系,非心血管系の死亡について調べた.
■Results
2.7年で,2082名が死亡した(954名は心血管系が原因)
果実,野菜接取の中央値は8/週(4-14)であった.
低摂取(0–5.5, median 2)と比較して,全死亡のハザード比は中摂取(5.6–10,
median 8)と高摂取(.10, median 17)で,それぞれ 0.90 (95% CI, 0.81 to 1.00) と0.80 (95% CI, 0.71 to 0.91) であった.
非心血管系死亡は0.88 (95% CI, 0.76 to 1.02) と0.77 (95% CI, 0.66 to 0.91) であり,心血管系死亡は0.95 (95% CI, 0.81 to 1.11) と0.84 (95% CI, 0.70 to 1.00) であった.
■Conclusions
血液透析患者において果実と野菜の摂取量は少なく,摂取量が多いことが全死亡と非心血管系の死亡の減少と関連していた.
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血液透析患者における果実と野菜の摂取と死亡に関連する論文.

血液透析患者は,尿が少ないor出ないため高カリウム血症がしばしば問題になる.
また,心機能低下を合併することも多く,その治療でRAS系阻害薬を内服していることも多い.
高カリウム血症は致死的な不整脈を引き起こすため,血液透析患者では生果実・生野菜を食べることを控えるよう指導ことが多い.

本論文では高カリウム血症の頻度の記載がなく,また,血中カリウムの動態に影響を与えうるβブロッカー,RAS系阻害薬,利尿薬,インスリン使用などについての記載がなかったのでこれらを内服・使用している患者において,果実・野菜摂取による高カリウム血症の不利益に勝るかどうかは判断できないと思う.

ただし,血液透析以外に高カリウム血症になる要因が乏しければ,高カリウム血症にならないよう慎重に摂取量を増やすのはありかもしれない.
血液透析患者でも尿が出ている人,たまにいますからね….

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