2017年11月20日月曜日

急性肝不全ではCRRTの方がIRRTよりも死亡率は下がる

Continuous renal replacement therapy is associated with reduced serum ammonia levels and mortality in acute liver failure

Hepatology. 2017 Aug 31.
[E-pub ahead of print]; https://doi-org.ezproxy.kyorin-u.ac.jp/10.1002/hep.29488

ABSTRACT
■Background
高アンモニア血症は,急性肝不全患者(ALF)における頭蓋内圧の亢進と死亡率に関連している.腎代替療法(RRT)が,アンモニア濃度と死亡率にどう影響するか検証した.
■Methods
US ALF Study Group registryを用い,1998年1月~2016年12月の患者を検証した.
まず最初に肝性脳症を呈した患者のアンモニアと,21日生存率(移植無し, TFS)の関連を調べた.続いて,RRT導入後3日間のアンモニアと,21日TFSを調査した.
■Results
高アンモニア血症(合計1186名)は,Grade3-4の肝性脳症(HE),神経イベントでの死亡,更には全死亡率と関連していた(HE(116 vs. 83μmol/l) , and mortality at day 21 due to neurological (181 vs. 90μmol/l) and all causes (114 vs. 83μmol/l; P<0.001 for all))
340名の連日のアンモニアが検証でき,61名(18%)がCRRT,59名(17%)がIRRT,220名(65%)が最初の2日間は透析なし(no RRT)といった内訳であった.
 1-3日において,アンモニアの減少は CRRT 38%, IRRT 23%, noRRT 19%であった.
noRRTと比較してCRRTではアンモニアの減少は有意差があったが,IRRTでは有意差はなかった.
組み入れ時期,年齢,原因,疾患活動性を補正しても,CRRTでは全死亡率の改善(21日TFS)を認めた(odds ratio [OR], 0.47 [95% confidence interval (CI), 0.26-0.82]) .
一方で, IRRTでは死亡率が増加していた (OR, 1.68 [95%CI, 1.04-2.72]) .
■Conclusions
高アンモニア血症はGrade3-4の肝性脳症,21日TFSと関連していた.
また,CRRTではアンモニアと21日TFSの改善を認めた.
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急性肝不全におけるCRRTの有効性を検討した論文.
IRRTが死亡率を増やす結果になっています.
IRRT群のほうが重症なのかと思いきや,CRRT群のほうが昇圧剤の使用が多かったり(64% vs 51%, P=0.029), INRは延長していたり(3.2 vs 2.7 P=0.003),そういうわけではない様子.乳酸値はCRRT群のほうが低い(6.2 vs 7.9 P=0.025)けど,そこまで大きく影響するとも思えない.
IRRTの細かな設定が分からないので,日本で適応できるかどうかは微妙ですが,IRRTのほうがいいかもしれません.しっかりアンモニアが下がればいいのかもしれませんが.
*海外だとlow doseでも<35ml/kg/hrです.今までIRRT施行している患者さんで,そこまでのdoseで施行している症例に出会ったことがないです….日本の保険だと600-800ml/hrが限界で,それだと10ml/kg/hr~13ml/kg/hrになるので,日本での適応には慎重にならざるを得ません(日内会誌 103:1145~1152,2014)

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