2018年5月14日月曜日

飲水量と腎機能の関係;飲水量増やしても,腎機能改善には寄与しない?

Effect of Coaching to Increase Water Intake on Kidney Function Decline in Adults With Chronic Kidney Disease
The CKD WIT Randomized Clinical Trial


JAMA. 2018;319(18):1870-1879.

Abstract
■Importance  
観察研究では,飲水量の増加は腎機能の改善と関連があるとされる
■Objective  
飲水量を増やすように指導することが,成人のCKD患者における腎機能に影響するか調べた
■Design, Setting, and Participants 
カナダのオンタリオ州における9施設で,ランダム化し,2013年~2017年5月25日まで,CKDG3かつ1日の尿量が3L未満の患者を対象にした.
■Interventions  
316名に飲水励行し,315人の対照群は通常の飲水量を維持するよう指導した.
■Main Outcomes and Measures  
Primary outcomeは12ヶ月後のeGFRの変化.
Secondary outcomesは,12ヶ月後の,血清コペプチン濃度変化・クレアチニンクリアランス,24時間アルブミン尿,患者申告の健康度(最低が0, 最高が10)
■Results  
631人がランダム化された(mean age, 65.0 years; men, 63.4%; mean eGFR, 43 mL/min/1.73 m2; median urine albumin, 123 mg/d)
12名が死亡(飲水励行群:5名,対照群:7名).
590名が12ヶ月フォローされ,飲水励行群では0.6L/dayの尿量増加を認めた(95% CI, 0.5 to 0.7; P < .001). 
eGFRの変化は飲水励行群で-2.2ml/min/1.73m2で,対照群で-1.9ml/min/1.73m2であった(adjusted between-group difference, −0.3 mL/min/1.73 m2 [95% CI, −1.8 to 1.2; P = .74]). 
Secondary outcomesは以下の通り.
plasma copeptin, −2.2 pmol/L (95% CI, −3.9 to −0.5; P = .01)
creatinine clearance, 3.6 mL/min/1.73 m2 (95% CI, 0.8 to 6.4; P = .01)
urine albumin, 7 mg per day (95% CI, −4 to 51; P = .11)
quality of health, 0.2 points (95% CI, −0.3 to 0.3; P = .22).
■Conclusions and Relevance  
CKDG3では,飲水量の増加は12ヶ月後のeGFR低下に影響しなかった.
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飲水量の増加がeGFR低下を抑制するか,を調べた論文.

患者背景が日本人と違いすぎるのは海外だから仕方ないとして,対照群も平均1.9L/day(患者体重より計算すると約0.9ml/kg/hr)の尿量です.介入群は2.5L/dayへ増加.
つまり0.9ml/kg/hr以上に尿量を増やしてもあまり意味がない,ということですかね.
0.5ml/kg/hrのぎりぎりだとどうなのか?ということは疑問点として残ります.
あんまり日本人って飲水しない気がするんですよね.外来でもペットボトル500mlも飲まない人もいますし….これは完全に個人的な印象ですけど.

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