2017年6月6日火曜日

非糖尿病CKD患者での血圧と腎障害進行

Association of Intensive Blood Pressure Control and Kidney Disease Progression in Nondiabetic Patients With Chronic Kidney Disease A Systematic Review and Meta-analysis

JAMA Intern Med. 2017;177(6):792-799.

Abstract
■Importance
非糖尿病性CKD患者において,至適血圧は議論が分かれている.
■Objective
積極的降圧群(<130/80mmHg)と通常群(<140/90mmHg)での比較を行った.
■Data Sources  Searches
PubMed, MEDLINE, Embase,Cochrane Libraryで2016年3月までの文献
■Main Outcomes and Measures
1年でのGFR低下,血清クレアチニン2倍,GFR 50%の低下,ESRD,全死亡率,複合腎アウトカムを評価した.
■Results
9つのRCTで8127人の患者を組み込み,フォローアップの中央値は3.3年であった.積極的降圧群と通常群で1年でのGFR低下 (mean difference, 0.07; 95% CI, −0.16 to 0.29 mL/min/1.73 m2/y), 血清クレアチニン2倍もしくは50%のGFR低下 (RR, 0.99; 95% CI, 0.76-1.29), ESRD (RR, 0.96; 95% CI, 0.78-1.18), 複合腎アウトカム(RR, 0.99; 95% CI, 0.81-1.21),全死亡率 (RR, 0.95; 95% CI, 0.66-1.37)において,いずれも統計学的有意差を認めなかった.黒人じゃない患者や,蛋白尿が高度の患者では積極的降圧群で腎障害の進行が抑えられる傾向にあった.
■Conclusions and Relevance 
通常群よりも降圧することでの腎保護作用は,非糖尿病性CKDの患者では,証明されなかった.しかし黒人じゃない場合や蛋白尿が多い場合は積極的降圧が利益があるかもしれない.
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JNC8(JAMA. 2014 Feb 5;311(5):507-20.)では非糖尿病性CKDでは<140/90mmHgを推奨していたり,KDIGO(2012)では蛋白尿(尿中アルブミン30mg/day以上)があれば<130/80mmHgを推奨している.
さて,SPRINT試験( N Engl J Med. 2015;373(22):2103-2116.)は記憶に新しいところで,sBP<140と比較してsBP<120で有意に心血管イベントが抑制された.しかし腎臓に限って言えば,GFRの低下に有意差はなく,むしろsBP<120群でAKIが有意に増えているという結果でした.
このメタアナリシスでは有意差を認めていないものの,副作用も有意差を認めておらず,やはり蛋白尿が出ている群では<130/80mmHgを目指すことに問題はなさそう.ただしフォローアップ期間が3.3年であり,長期予後にどう影響するかは気になるところ.

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