2017年8月14日月曜日

IgA腎症に対するステロイドの効果(TESTING study)

Effect of Oral Methylprednisolone on Clinical Outcomes in Patients With IgA Nephropathy

The TESTING Randomized Clinical Trial

JAMA. 2017;318(5):432-442. 

Abstract
■Importance
ガイドラインではIgA腎症で蛋白尿が持続する場合にステロイドを推奨しているが,その効果は分かっていない.
■Objective
ステロイドの効果と安全性を評価する.
■Design, Setting, and Participants
多施設,二重盲検化,ランダム化試験であり,750人のIgA腎症の患者(蛋白尿 1g/day以上でeGFR 20~120の患者で,RAS系阻害薬を少なくとも3ヶ月以上内服している)を,335症例のプライマリーアウトカムが評価できるまで追跡した.
■Interventions
メチルプレドニゾロン内服(0.6-0.8mg/kg/day, 最大48mg/day) 136人とプラセボ群 126人に振り分け,2か月間内服しその後4-6ヶ月で漸減した.
■Main Outcomes and Measures
プライマリー複合アウトカムはESRD, 腎不全による死亡,eGFRの40%の低下とした.
安全性の評価は感染,新規の糖尿病,消化管出血,骨折/骨壊死,心血管イベントとした.
これらの評価の為,5年間のフォローアップが必要だと判断した.
■Results
262人の患者を振り分けた後(平均年齢38.6 [SD, 11.1] years; 96 [37%] women; eGFR, 59.4 mL/min/1.73 m2; 蛋白尿 2.40 g/day) ,中央値で2.1年フォローアップした.深刻な副作用のため試験は中止となった.メチルプレドニゾロン内服群で20人(14.7%)の患者に深刻なイベントが生じた.(プラセボ群は4人, 3.2%,P = .001; risk difference, 11.5% [95% CI, 4.8%-18.2%])
感染症が多く (11 [8.1%] vs 0; risk difference, 8.1% [95% CI, 3.5%-13.9%]; P < .001), そのうち2名が死亡した.
腎臓のアウトカムはメチルプレドニゾロン内服群 8人(5.9%)で,プラセボ群では20人(15.9%)であった.
 (hazard ratio, 0.37 [95% CI, 0.17-0.85]; risk difference, 10.0% [95% CI, 2.5%-17.9%]; P = .02).
■Conclusions and Relevance
経口プレドニゾロン内服は深刻な副作用,特に感染症を増やした.腎臓に対する潜在的な利益はありそうだが,試験の早期終了の為,結論付けはできない.
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最近IgA腎症が熱いのでしょうか.
以前にもSTOP-IgAN study(N Engl J Med. 2015 Dec 3;373(23):2225-36.)で,支持療法だけでいいんではないかっていう結果でした.(急速に腎機能悪化する症例などは除外されていましたが)
本論文も,経口ステロイド単独でも,やはりデメリット>メリットかもしれないという結論.
免疫抑制剤の投与は慎重に判断するべきなんでしょうね.

一方,日本の2014年のIgA腎症のガイドラインでは,蛋白尿が0.5g/day以上あれば腎機能に関わらず,ステロイド考慮という記載もあります.
どちらかといえば日本は「早いうちに叩け!」っていう施設が多いような気もしますが,2017年のガイドラインではどう変わったのでしょうか.そういえば注文してなかった….

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