Impact of high-flux haemodialysis on the probability of target attainment for oral amoxicillin/clavulanic acid combination therapy
International Journal of Antimicrobial Agents, 2017-07-01, Volume 50, Issue 1, Pages 110-113
■Abstract(一部)
アモキシシリン/クラブラン酸のような小分子のクリアランスは血液透析では増加していることが予想され,それにより血中濃度の低下を起こし,効果が減るかもしれない.
判明している薬物動態的パラメーターを使用し,アモキシシリン/クラブラン酸の血中濃度をシュミレーションした.アモキシシリンはMICを超えている時間が50%超えていることを有効とし,クラブラン酸は0.1mg/Lを超えている時間が45%以上で有効と判断した.
抗菌薬は10日間の投与を想定し,1000人の仮想患者でシュミレーションを行った.
7通りの抗菌薬投与・透析の方法を設定(アモキシシリン825mg/クラブラン酸125mg1日1回投与で投与2時間後に透析を行ったもの(午前透析)と,8時間後に透析を行ったもの(午後透析).アモキシシリン500mg/クラブラン酸125mgを1日2回内服で午前透析を行ったもの,午後透析を行ったもの,朝の内服は午前透析後に内服したもの,朝の内服は午前透析に行ったが夕分の内服を忘れたもの,朝の内服を忘れたもの).
アモキシリン500mg/クラブラン酸125mgを1日2回投与する群では透析しても有効と考えられた.
アモキシシリン825mg/クラブラン酸125mgを1日1回投与では,アモキシシリンは有効と考えられたが,クラブラン酸は有効とは言えなかった.
これらの結果から,アモキシシリン/クラブラン酸1日1回投与では,特に透析日に,有効な濃度が得られていない可能性が示された.
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抗菌薬と血液透析の濃度を調べた研究.シュミレーションですが.
ユニークだと思ったのは,わざわざ「夕分の内服を飲み忘れた」レジメンまで考慮していること.実際,飲み忘れそうですよね・・・.
レジメンを改めて整理すると
内服2時間後の透析→午前透析(本文中はmorning dialysis)
内服8時間後の透析→午後透析(本文中はafternoon dialysis)とした上で,
①アモキシシリン825mg/クラブラン酸125mg1日1回 朝投与
A.午後透析
B.午前透析
②アモキシシリン500mg/クラブラン酸125mg1日2回 朝夜投与
C.午後透析
D.午前透析
E.朝分の内服は午前透析後に内服
F.朝分の内服は午前透析後に内服するが,夜は内服忘れ
G.透析日の朝は内服忘れ
上記の7つに分類して,AとBではクラブラン酸の濃度が低く有効ではなかったと判断されています.
C-Gは,Gのみクラブラン酸の濃度が保てなかったとされており,A-Gいずれもアモキシシリンはほぼ有効だったとされています.
抗菌薬ハンドブックのサンフォードの記載ではアモキシシリン500mg/クラブラン酸125mgを1日1回投与だけど,血液透析日は透析後に追加内服することと記載があって,これに従えば問題はなさそう.
日本の投与量(オーグメンチン250®を1日2回)ではデータがなくもしかしたら有効濃度には達しないかもしれない.(体格が小さいから減量しても平気?明確なデータはないと思いますが・・・)
日本にはオーグメンチン250®,オーグメンチン125®がありますが,それぞれ配合比率がアモキシシリン250mg/クラブラン酸125mg, 125mg/62.5mgなので要注意です.
(配合比率を気にして,サワシリン®を追加して処方する人も多いです)
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