2017年6月18日日曜日

PPIはCKD進行のリスクとなる

Association Between Proton Pump Inhibitor Use and Risk of Progression of Chronic Kidney Disease

Gasteroenterology (article in press)
http://dx.doi.org/10.1053/j.gastro.2017.05.046

■Background & Aims
プロトンポンプインヒビター(PPI)はAKIと関連が示唆されており,また,近年CKDの危険因子でもあるという報告がある
■Methods
後ろ向きにストックホルム市民のデータベース(2007-2010年)を用いて解析を行った.
新規PPI内服者105305人,新規H2blockers(H2B)9578人おり,プライマリーアウトカムとしてCKD進行(Cr2倍以上の悪化,もしくはeGFR30%以上の低下),セカンダリーアウトカムをESRDとAKIとして解析を行った.
■Results
PPI服用者は,H2B服用者と比べて,Cr上昇の危険性があり(1985 events; adjusted hazard ratio [HR], 1.26; 95% CI, 1.05–1.51),eGFR30%以上の低下も認めた(11045 events; 1.26; 95% CI, 1.16–1.36). 
PPI服用は,ESRDの進展とも関連した (HR, 2.40; 0.76–7.58) and AKI (HR, 1.30; 95% CI, 1.00–1.69). 
また,PPIの累積はCKD進行と関連したが,H2Bの累積とは関連なかった.
■Conclusions
PPIの開始と累積はCKD進行のリスクを増す.
しかし交絡因子がある可能性は残る.
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PPIとCKDの関連を調べた論文.
PPIは逆流性食道炎や潰瘍性病変で頻繁に処方されるものの,近年,肺炎,CD infection,骨粗鬆症などを悪化させるという報告が相次いでいる.
CKDにも悪そうというのが本論文の内容.ただ最後に「cannot exclude residual confounding」とあるのが実際のところだと思います.
この研究では年齢は比較的若い(平均で50歳台半ば)ですが,高齢者に限ればアスピリン内服とPPIは有用とする報告もあったりして(the lancet, http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(17)30770-5),要は適応をしっかり考えましょうってことですね.
それかどうしても処方するならH2ブロッカーのほうがいいかも.
少なくともpolypharmacyだからという理由での処方はやめたほうがいい.
(そもそもpolypharmacyが・・・)

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