Comparative effectiveness of allopurinol versus febuxostat for preventing incident renal disease in older adults: an analysis of Medicare claims data
Ann Rheum Dis 2017;76:1669–1678
■Abstract
Objective:高齢者においてアロプリノールとフェブキソスタットのどちらが腎疾患予防に効果的か
Methods:後ろ向きコホート研究.2006-2012年で,新規にアロプリノールもしくはフェブキソスタットによる治療が開始となった患者を対象とした.(baseline period of 183 days without either medication). 5:1でpropensity-matched Cox regression analysesを用いて,腎疾患発生のハザード比を比較した.
results:31465例の新規のアロプリノール,フェブキソスタット処方が26443人の患者において認めた.そのうち8570例が腎疾患の発症を認めた.アロプロノールは192/1000person-yearsであったのに対し,フェブキソスタットは338/1000person-yearsであった.アロプリノールは高用量のほうが発症率は低く,200mg/day未満,200-299mg/day,300mg/day以上では,それぞれ1000 person-yearsは238, 176, 155であった.フェブキソスタット 40mg/day, 80mg/dayでは341, 326であった.
propensity-matched analysesでは,フェブキソスタットに比べて,アロプリノールはハザード比0.61 (95% CI 0.49 to 0.77)であった.
また,フェブキソスタット40mg/dayと比べて,アロプリノール200mg/day未満,200-299mg/day,300mg/day以上はいずれもハザード比は低かった.( 0.75 (95% CI 0.65 to 0.86), 0.61 (95% CI 0.52 to 0.73) and 0.48 (95% CI 0.41 to 0.55))
Conclusions :アロプリノールは高齢者の腎疾患発症においてフェブキソスタットよりも効果的である
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アロプリノールとフェブキソスタットの腎保護作用を調べた論文.
まずは高尿酸血症に対する基本的なおさらい.
CKDがない健常者の場合,まずは痛風発作の有無で治療適応を考える.
日本の2012年高尿酸血症のガイドラインでは,痛風発作があれば治療開始し,6mg/dl以下にすることが推奨.
痛風発作のない,いわゆる無症候性高尿酸血症に関しては,8mg/dl以上で他の合併症(腎疾患や心疾患など)があれば治療開始とし,また,9mg/dl以上であれば合併症がなくても治療適応だとしている.
一方で,アメリカリウマチ学会は痛風発作を起こしたものや,CKD stage3以降もしくはCKD stage2で器質的なものがあれば治療対象としている.
症状・合併症のない無症候性高尿酸血症については治療意義が分かっていない,ということは留意すべき.
ではCKDがある場合はどうするか?
これも前提として,はっきりとした尿酸を下げる事のメリットは証明されていない(正確には効果があったとする論文と効果がないとする論文が混在している)
高尿酸血症が原因でCKDが進行するのか,それともCKDがあるから尿酸値が上昇しているだけなのか,という議論がある(今回の論文中にも卵が先か,鶏が先か,という記述がある)
日本のCKDガイドラインでは治療を推奨している.
KDIGO(2012)では,根拠が足りないとして明確な記載はなし(not graded)
本論文によると,現在アロプリノールとフェブキソスタット,それぞれについてプラセボとの比較研究が進行中とのこと.
そんな中,本論文はアロプリノールとフェブキソスタット,どちらが腎保護に対してよさそうか,というもの.
痛風に対してはフェブキソスタットのアロプリノールに対する優位性がなかったとして,cost-effectivenessの点からフェブキソスタットは第一選択にすべきではないとする意見もある(Semin Arthritis Rheum. 2013 Dec;43(3):367-75)
痛風に対してはフェブキソスタットのアロプリノールに対する優位性がなかったとして,cost-effectivenessの点からフェブキソスタットは第一選択にすべきではないとする意見もある(Semin Arthritis Rheum. 2013 Dec;43(3):367-75)
本論文の結果としては,腎保護に対してもアロプリノールのほうがよい,というものだが,outcomeが臨床的なもの(CrやGFRの推移)ではなく,病名(ICD-9)で行っている点には注意が必要.バイアスがかかっている可能性がある.
ただ,痛風に対するstudyの結果などをみると,特に理由がなければアロプリノールが優先されるかもしれない.
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