2018年4月16日月曜日

CKDG4以降の臨床経過・予後など

Improving the prognosis of patients with severely decreased glomerular filtration rate (CKD G4+): conclusions from a Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Controversies Conference


Kidney International (2018) In press, Available online 12 April 2018

GFRの低下した患者(G4以降)では,腎不全,心不全含む心血管(CVD)イベント,そして死亡リスクが上昇する.だがしかし,腎代替療法の開始含め,詳細なアウトカムや治療戦略はほとんど知られていない.2016年12月にKDIGO Controversies Conferenceが開催された.GFRが低下した患者における,臨床経過や危険因子を検討した.2年間,4年間での腎代替療法を要する可能性などのモデルを作成した.
また,4つのテーマに沿って論文内で検討した( management of CKD G4+, diagnostic and therapeutic challenges of heart failure, shared decision-making, and optimization of clinical trials in CKD G4+ patients)
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CKDG4以降についての論文.
個人的に一番有用だったのがTiming of clinical outcomes in CKD with severely decreased GFRのツール(http://www.kdigo.org/equation/)
高齢者の透析導入が増えています.CKD診療において蛋白尿,高血圧,血糖の管理などを行うことは当然ですが,一方で,目の前の患者が将来どのくらい透析になる可能性があるのか?という疑問は常に頭にあります.
経時的に診てきた患者さんならGFRの低下具合で推測出来たりもしますが,初診の患者さんだと受診以前のデータが少ないことも珍しくありません.
そうした場合にこういったリスク評価のツールがあることは参考になります.
例えば75歳男性,糖尿病既往なし,心血管イベントの既往あり,血圧はsBP 130程度でコントロールされているeGFR 30の症例だとします.人種の項目が白人もしくは黒人しかないですが…,まぁリスクを高めに見積もるということで黒人にしておきます.
微量アルブミン尿での評価になっているのが実臨床とは即しませんが,500mg/gCrくらいだすると,4年以内に腎代替療法なる可能性が12%,心血管イベント発生が38%,全死亡が36%となり,透析の心配をするより心血管イベントの心配をしたほうがよさそうです.
日本人に適応できるか,という問題は残りますが,非常に簡単に計算してくれるので参考にはなると思います.

下記は上記論文より,個人的なメモ.
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■心不全
CKD G4以降では心不全を合併している患者が多い.
心不全は,EFの低下した(reduced),HFrEFと,EFが保たれているHFpEFに分けられるが,CKD患者ではHFpEFの頻度が多い.
ただし心不全が進行するかどうかは議論が残っている.
CRIC studyでは,腎代替療法の開始によってEFが低下傾向であったが,統計学的有意差はなかった.
CASCADE studyではCKDG3以降で,左室肥大などを認めたが,EFの変化は統計学的には認めなかった.
IDEAL trialでは,心肥大や心機能共に,統計学的に変化を認めなかった(ただしこのstudyでは腹膜透析患者が多い).
ブラッドアクセスでは,内シャントが高心拍出性心不全を起こす可能性を指摘されている.
CKDG4以降のHF患者の管理は,データが限られている.
また,透析患者でのβブロッカーとRAS系阻害薬の処方率は一般的な心不全患者よりも低い.

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