Urine Ammonium Predicts Clinical Outcomes in
Hypertensive Kidney Disease
J Am Soc Nephrol 28: 2483–2490, 2017.
■ABSTRACT
代謝性アシドーシスはCKDの予後と関連する.
腎におけるアンモニアの排泄障害は,アシドーシスの病因として重要であり,特にアシドーシスを認めない人において,尿中アンモニウムイオンは血中HCO3-よりも早期の酸塩基平衡障害の指標になるかもしれない.
我々は,尿中アンモニウムイオンの量とアウトカムについて調べた.
African American Study of Kidney Disease and Hypertension participants (n=1044)にて評価した.
尿中アンモニウムイオン/dayの中央値は19.5mEqであった(95% confidence interval [95% CI], 6.5 to 43.2)
Cox回帰分析 (adjusted for demographics, measured GFR, 蛋白尿, BMI, net endogenous acid production, and serum potassium and bicarbonate)では,死亡と透析の複合アウトカムにおいて,high tertitleと比較してlow tertileではハザード比1.46(95% CI, 1.13 to 1.87) ,middle tertileでは1.14 (95% CI, 0.89 to 1.46)であった.
ベースラインでアシドーシスがない患者では,尿中アンモニウムイオン/dayが,20mEq未満の群では,20mEq以上の群と比較して,ハザード比が1.36であった (95% CI, 1.09 to 1.71).
更に,high ammonium tertitleと比較して,1年以内にアシドーシスを呈するオッズはlow ammonium tertileで高かった(adjusted odds ratio, 2.56; 95% CI, 1.04 to 6.27).
結論として,尿中アンモニウムイオンの排泄低下は高血圧性腎症において,アシドーシスが無い人でも,死亡・腎不全と関連していた.HCO3-が正常でも,アシドーシスを呈する前に,尿中アンモニウムイオン排泄が低下している人を特定しアルカリ製剤を投与することが有益かもしれない.
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今は日本のCKDガイドラインでも,KDIGOのガイドラインでも,酸塩基平衡への介入はHCO3-が主体です.HCO3-を20mEq/l以上にすることがCKDの進行を抑える,ということでHCO3-が20mEq/lよりも低ければ炭酸水素ナトリウムなどの使用が推奨されています.(KDIGOでは22mEq/l)
今回の論文は,HCO3-が正常な人でも,もっと早期に介入できる指標があるんではないの?っていうことで尿中アンモニウムイオンを評価したもの.
尿中NH4+で治療する群とHCO3-で治療介入する群での比較が必要だと思うので現時点で診療の方針に変更はないけど,今後こういうstudyが出てくるんでしょうか.